2011年6月27日月曜日

地域医療の復活は地域の再生につながる

南相馬市立総合病院を訪れた河野病院長(右から2人目)

避難所訪問後、別れ際に深々とお辞儀を交わす。金澤院長の感謝の気持ちが伝わる
 「本当にありがとうございました。どこからも医療支援が入らない中、長崎のチームに入ってもらって、医療を必要とする人たちを掘り起こしてくれた。本当に助かった」。南相馬市立総合病院の金澤幸夫院長は深々と頭を下げた。
 震災当時18人いた医師も今ではわずか5人。当直を回しながら、外来などに対応している。7万人といわれていた南相馬市の人口は震災から約4カ月弱で3万1000人まで減った。
  しかし人口が減少する一方で、緊急時避難区域に入る同病院は入院患者の受け入れにこだわった。6月中旬から70床を持つことが福島県から許された。そこには南相馬市自体の再生を懸ける姿勢も垣間見える。
 同病院の及川友好副院長はいう。「医療、福祉、教育を柱に町おこしに取り組んできた。これらがなければ住民たちは安心してこの地で生活をすることができない。まずは医療の再生を目指していきたい」。
 この3カ月で支援の形は変化した。これまでは孤立した医療難民を拾い上げる“急性期”だった。今度はシステムや態勢を整える「地域医療の再生」という次の局面へと展開している。