南相馬市の現状について話す及川副院長(手前) |
岩手県や宮城県と同じく甚大な津波被害を抱えているものの、医療の提供や情報伝達という支援を「放射線への誤解」が阻む現状がある。ここ数カ月、国の放射線量の基準が二転三転する中、住民たちは振り回され不安にさらされてきた。さらに周りの市町村や県外の人たちは南相馬市に近づくことを恐れ、福島ナンバーの車の出入りを拒絶した。
「いじめられっ子の気持ちが分かった」。及川副院長はぽつりとつぶやいた。震災以降、原発から離れた市町村や福島県外で、放射線を過度に怖がるあまり、差別や偏見を生み出した。被爆地長崎や広島でも同じような問題を抱えた歴史がある。「被爆した若い娘は結婚できない」「放射線がうつる」などという誤解が多くの被爆者を奇異の目にさらした。
いったい私たちは苦い経験や歴史から何を学んでいるのだろうか。
河野病院長は金澤院長と及川副院長に窮状が届いていないことを伝えた。「全国の医師や国の目は岩手や宮城に向いており、福島に向いていない。南相馬市のこんな状況を知らない人がほとんど。実際に来てもらって見てもらうべき」。
河野病院長は金澤院長と及川副院長に窮状が届いていないことを伝えた。「全国の医師や国の目は岩手や宮城に向いており、福島に向いていない。南相馬市のこんな状況を知らない人がほとんど。実際に来てもらって見てもらうべき」。