2016年4月28日木曜日

看護師チーム 避難所を巡回

 第1陣で派遣された看護師2人は22日午後から、避難所の医療ニーズ調査へ出かけた。慣れない熊本市内の道をナビを頼りに運転。四カ所を巡回するため、一カ所に時間は掛けられない。「1カ所20分ぐらいだね」と足早に避難所となっている高校の体育館へと向かった。

  この日は快晴だった。避難所内を見渡せば、ポツポツと人がいるだけ。避難所の管理を担当する市職員の話によると、天気のよい日はほとんどの人たちが自宅に 帰って片づけをしているという。避難所周辺のアパートでは大きなゴミを出す姿をよく見かけた。二人は避難所のトイレの使用状況なども視察してつぶさに記 録、アルコールが置かれていない状況などを確認した。


 「お体はいかがですか?」。看護師の 大山祐介さんが布団の上に横たわる女性に声を掛けると、女性はそのままの状態で「リウマチが痛むんですよ」と話し始めた。親身に聞き入っていると、女性は 静かに身を起こして地震のときの話を始めた。もう一人の看護師、梁瀬由紀子さんは高齢の男性に歩み寄り、ゆっくりと大きな声で話し掛けていた。この男性は 避難所であっても、朝起きるといつもと変わらぬ、これまでの通り、きちんと身支度を整えるという。

  避難所中央には、おむつや粉ミルクなどの生活用品が置かれていた。一人の女性がその管理を任されている。地震以降、この体育館で避難生活を送っているそうだ。数年前に高齢の母を看取ってからずっと独り暮らしだった女性は地震のときも自宅に一人でいた。
  「ここで皆さんのお世話をしていたら気が紛れるんですよ」。目にうっすらと涙を浮かべて 「本当に感謝している。私は恵まれてますよ」と口元を押さえて話をしてくれた。

  体育館を出ると、ジャージに身を包んだ高校生5人が自転車に腰かけておしゃべりをしていた。この高校に通う部活動の仲間らしく、校内の片付けにきたとい う。「明日から炊き出しを手伝います」と元気よく話した。そう彼ら自身も自宅が被災している。自宅に帰ることはできても家具や電化製品で散乱した状態だそ うだ。別れ際、ある男子高校生がこう言った。「僕たちが元気を出さないといけないですよね」。力強いまなざしが印象に残った。