2011年4月6日水曜日

相馬市の避難所で歯科診療

相馬市の避難所で歯科診療をする齋藤教授
廃校を避難所として利用
4月6日、長崎大学病院の歯科医、齋藤俊行教授は相馬市にある避難所を訪問した。避難所は30km圏外にあり、廃校になった相馬女子高を利用。南相馬市から来た約550人が入っており、相馬市内で最も大きい。

3階建ての建物は集落ごとに部屋を使っており、幼い子供や小学生たちもいる。お年寄りも多く、一つの町が避難所に移動してきたようだ。しかし廃校だったため、水道が使えず電気も蛍光灯が外されている部屋が大半。仮設トイレも玄関先に設置された7カ所。衛生環境も整っているとは言いがたい。階段には簡単な椅子式のエレベーターがあるが、杖を付いたお年寄りが階段を上り下りをしている状況だ。

現在、医療は全日本病院協会が中心となって、大分などからチームが支援している。2階の1室に設けられた診察室では、10人ほどの患者が順番を待っていた。

今回の齋藤教授の訪問は歓迎された。齋藤教授が避難所の各部屋を回りながら診療を担当。「歯が痛い方や入れ歯の不都合がある方はいませんか?」。大きな声で呼びかけても返事はない。個別に話しかけると「じゃあお願い」と手が挙がる。

福島県の担当者は診療をサポートする歯科衛生士が圧倒的に少ないことを訴える。「歯科衛生士は若い女性が多く、放射線の影響を心配して、みんな県外に出て行ってしまった。口の中をチェックして、診察が必要な人たちをピックアップする作業が必要。確保が急務」と窮状を話す。確保に奔走しているが、めどは立っていない。