保健師たちは避難所を巡って被災者の健康状態などをチェックする |
一人の20代の保健師に尋ねた。若い女性たちが放射線の健康被害を懸念して県外に移っていく中、どうして残るのか、と。
「仕事ですから」。少し戸惑いながらも清々しい笑顔で答えてくれた。健康被害がないといわれるレベルと認識していても、周りが大騒ぎする姿を見るにつけ、不安を抱かずにはいられないはずだ。しかしこの地に残って、医療を必要とする人たちがいる以上、与えられた使命を懸命に果たそうとしている。
緊急被ばく医療に取り組む福島医科大では震災直後、浮き足立っていた。そんな中、長崎大学は医師や看護師たちを派遣。ともに福島第一原発の作業員たちの被ばくに対応する中、医療体制を整えるところまでたどり着いた。搬送された作業員たちを診療する際、長崎大学病院の医師や看護師たちが率先してい診療に取り組む姿を見せ、現場を勇気づけた。専門的な知識とノウハウ、そして被爆地長崎からの協力が一体感を生み出し、信頼を築いている。
どの現場でも使命感を持って、ひたむきに医療にのぞむスタッフの姿勢。医療の原点がここにある。