2011年4月13日水曜日

医師たちの熱い思い 医療支援の意義

「現場の保健師さんや医師、医療スタッフの声が一番大事ではないでしょうか。われわれはあくまで支援ですので、この地域の医療が自立するお手伝いできているのですから」。4月4日の南相馬市での初会議。長崎大学病院の安岡彰副院長はこう言った。




長崎県チームの思いは熱かった。「避難所では生活できない。避難所にいたお年寄りたちが過酷な環境で生活できないから、自宅に戻ってきている」と県医師会チームとして参加した井上病院(長崎市)の井上健一郎院長は強調。安岡副院長も「避難所に移動させて状態を悪化させるリスクが、騒がれている放射線の健康被害よりはるかに上」と懸念する。


入院を必要とするお年寄りが出てくるたび、壁にぶち当たった。政府は30km圏内での入院を認めていない。圏内にある病院は通院のみ。入院機能をどうするかが、この地域の大きな課題だ。


こうした中、少しずつ連携が生み出された。4月上旬の会議で少なかった会議の参加者も増えていき、南相馬市長寿政策課など介護サービスの分野でも職員たちが参加するようになった。医療のほかに介護サービスのニーズが高いと判断したからだ。歯科診療も地元の歯科医師会に働き掛け、少しずつ輪を広げている。


この方針や思いは第2陣に引き継がれている。今、現地で歯科医療に取り組む2チームも避難所などで、表に出てこない歯科のニーズを実感しているようだ。長崎県チームの熱い思いが周りを突き動かしているようにも見える。スムーズに事が運んでいるわけではないが、現場は一つ一つをどうにかしようと動き始めている。


4月12日。長崎大学病院は5月末までの支援体制を通知し、準備を整えている。遠く離れた地から福島県の地域医療の再生を強く望んでいる。いつでも福島県の要請に応えられるように。